Bundesliga

2019-12-29T11:13:57Z

前半戦総括:シャルケ

シャルケのホームタウン、ゲルゼンキルヘンに活気が戻ってきた。よもやの低迷で昨シーズン14位に終わった“ケーニヒス・ブラウ”(王の青)が、デイヴィッド・ワグナー新監督の下で復活。開幕から連敗が一度もない安定飛行を続け、5位でシーズンを折り返した。選手もファンもチャンピオンズリーグの舞台に返り咲くことを夢見ている。

チーム状態の良さはスタッツにもよく表れている。競り合いの勝利数(1904回)がリーグトップ、空中戦の勝利数(387回)は同3位。ツヴァイカンプの強さを何より求める情熱的なシャルカーたちの期待に応えている。

失点率も昨季の1.62から1.24まで改善した。ディフェンスリーダーのサリフ・サネや気鋭のオザン・カバクらセンターバック陣に加え、若き守護神アレクサンダー・ニュベルら個々のパフォーマンスが向上。親しい仲にあるユルゲン・クロップ流のゲーゲンプレスを用いるワグナー監督の守備戦術も高い機能性を誇った。

敵陣でのボール奪取から一気にゴールを狙う形を理想とする攻撃をけん引したのは、モロッコ代表のMFアミーヌ・アリだ。技巧とクイックネスを融合させた天才的なドリブルで切り崩すだけでなく、第5節のマインツ戦で終了間際に決めたビューティフルゴールなど、ここぞという場面で勝負強さを発揮してチーム最多タイの6得点を挙げている。タイミングよくエリア内に侵入し、アリと同じゴール数を記録しているスアト・セルダルの成長ぶりも目覚ましく、10月にはドイツ代表デビューを果たした。

アリもセルダルも、守備時の絶妙なポジショニングやボール奪取力が際立つオマル・マスカレルも昨季は伸び悩んだ選手だった。確固たる戦術を植え付けただけでなく、主力を“再生”させたワグナー監督の手腕なくして、シャルケの復活はありえなかった。

付け加えるなら、アグレッシブな攻撃参加や精度の高い右足のキックで異彩を放つ右サイドバック、ジョンジョ・ケニー(保有権はエバートン)のブレイクも、獲得を熱望した指揮官の功績の一つに挙げられるだろう。

あえて課題に触れるなら、トップ4に水を開けられている得点力だろう。ポストとクロスバーに嫌われた回数はバイエルン・ミュンヘンに次ぐ8回と運に見放された側面もあるにせよ、得点数は首位ライプツィヒより19ゴールも少ない。アウクスブルクから期限付きでの加入が決まったミヒャエル・グレゴリッチが救世主となるか。もちろん、ドイツ代表のマーク・ウトら従来の主力の奮起にも期待がかかる。

文=遠藤孝輔

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