Bundesliga
ブンデスリーガ後半戦における最初の5試合で4勝を挙げたのは3チーム。トップスコアラーのロベルト・レバンドフスキが牽引するバイエルン・ミュンヘン、新星エアリング・ハーランドの活躍が目覚ましいドルトムント、そしてレーバークーゼンだ。シモン・ロルフェスSDはあくまで「欧州チャンピオンズリーグ出場」を目標に掲げるが、首位バイエルンとの勝ち点差は「6」。優勝争いにおいて台風の目になる可能性を秘めている。
好調の要因は人もボールもよく動くポゼッションサッカーが機能していること。チーム走行距離はリーグトップの2634.0キロで、ボール支配率、パス成功率ともにハイアベレージを記録している。最後尾から素早くショートパスをつないでボールを運び、アタッキングサードではスピード豊かなウインガー(レオン・ベイリー、ムサ・ディアビ、カリム・ベララビのローテーション)や技巧派のカイ・ハヴァーツがチャンスを創出。ここまでバイエルン、ライプツィヒに次ぐ341本のシュートを放っている。
中盤の大黒柱であるチャルレス・アランギスをケガで欠いても(第22節ウニオン・ベルリン戦で復帰)、チーム力がガクンと落ちなかった事実からもペーター・ボス監督の戦術がよく浸透しているのがうかがえる。特定の個に頼るのではなく、誰がピッチに立っても一定の競争力を保てるチームを作ったオランダ人指揮官の手腕は称賛に値する。
直近2試合で勝負強さを示したことも躍進の継続が期待できる要素だ。シーソーゲームとなった第21節のドルトムント戦では終盤の2ゴールで逆転勝利。そして第22節ウニオン・ベルリンとのアウェーゲームでは試合が中断するアクシデントに見舞われながら、最後まで集中を切らさずに94分の劇的ゴールで貴重な勝ち点3を手に入れた。
相手と五分以上にわたり合っても肝心の結果が伴わず、首位戦線からズルズルと後退するようなシーズンが過去に何度もあった。だが、ドルトムント戦とウニオン戦で証明したように、今のチームにはどちらに転んでもおかしくないゲームをモノにする強さが芽生えつつある。ボス監督が講じる交代策も効果的だ。
決定機を逸するシーンが目立つなどまだまだ課題も少なくはないが、選手たちにプレーの迷いは見られない。現在2位のライプツィヒ、同4位のボルシアMGとのアウェーゲームを控える“勝負の3月”も好成績を収めるようなら、ロルフェスSDも目標を上方修正するはずだ。ファンが夢見るのは、もちろん悲願のリーグ制覇だ。
文=遠藤孝輔