Bundesliga
ジェイドン・サンチョやエアリング・ハーランドに続いてドルトムントで大ブレイクを遂げるのは、ジョヴァンニ・レイナかもしれない。第18節のアウグスブルク戦でブンデスリーガデビューを飾った17歳の攻撃的MFは、1990年代にレーバークーゼンやヴォルフスブルクでプレーした元アメリカ代表のクラウディオ・レイナを父に持ち、母ダニエル・イーガンもアメリカ代表歴を持つ元サッカー選手という生粋のサラブレッドだ。
“ジオ”がドルトムントUー19チームの一員となったのは2019年夏。それ以前は父がスポーツディレクターを務めるニューヨーク・シティFCのアカデミーで技を磨いていた。当時の恩師である元フランス代表の名手、パトリック・ヴィエラはジオをこう評している。
「ゴールを決められるし、ゲームを読む力も本当に素晴らしい」
ヴィエラが称えるように、ジオはニューヨーク・シティFC時代から輝きを放っていた。Uー17世代の大会『ジェネレーション・アディダス・カップ』に14歳で参戦すると、MVPに輝く活躍で優勝に貢献。国際ユーストーナメント『トルネオ・デッレ・ナツィオーニ2017』では4ゴール4アシストと毎試合のように決定的な仕事をこなし、Uー15アメリカ代表を頂点に導く原動力となった。
2018/19シーズンもニューヨーク・シティFCのUー18/19で17試合出場13ゴールと爆発。その勢いはドルトムントUー19加入後も衰えず、今シーズン前半戦はUー19ブンデスリーガ西地区で4ゴール7アシスト、UEFAユースリーグで4ゴール1アシストを記録し、トップチーム昇格の“スピード出世”を果たした。後半戦はブンデスリーガの全5試合に出場中。2月4日に行われたDFB杯ラウンド16のブレーメン戦で大会最年少得点記録を打ち立てるなど、早くもプロでの地歩を固めつつある。
ボールタッチはチームメイトのトルガン・アザールやマリオ・ゲッツェのように柔らかく、ドリブルスピードの速さから元ブラジル代表のカカーに例えられることもある。ヴィエラが太鼓判を押す戦術センスの高さは、現役時代に優秀なプレーメーカーとして鳴らした父譲りとも言えるだろう。
両親ともにアメリカ人ながら父方の祖父がポルトガル系アルゼンチン人であり、ジオはポルトガル国籍を持っている。さらに出生地がイングランドであることから、将来的にどの国の代表でプレーするかに注目が集まる。右肩上がりの成長曲線を描き、ドルトムントで存在感を強めている現状を踏まえれば、そう遠くないうちに“決断”のときが訪れるかもしれない。
文=遠藤孝輔