Bundesliga
ブンデスリーガの歴史を彩ってきた外国籍プレーヤーの系譜を紐解く当連載。第4回はハンガリーにスポットライトを当てる。
1954年のスイス・ワールドカップ決勝で西ドイツと死闘を演じたハンガリーのプレーヤーが、初めてブンデスリーガでプレーしたのは今から半世紀以上も前のことだ。リーグ創設2年目の1964/65シーズン、グロイター・フュルトからシャルケに加入したギュラ・トートが開幕戦のピッチに立った。伝説のGKはのちにニュルンベルクへ移籍し、1967/68シーズンに記念すべき優勝メンバーの一人となった。
その後は長くドイツで脚光を浴びるハンガリー人選手が出現しなかったが、潮目が変わったのはトートの戴冠から30年近くが経過した1997年。このシーズンに3人の名手が一斉にブンデスリーガデビューを飾ることになる。
シュトゥットガルトで名手クラシミール・バラコフから技を盗み、2003/04シーズンにブレーメンの二冠に貢献した攻撃的MFのクリスティアン・リステシュ、ヘルタ・ベルリン、レーバークーゼン、1860ミュンヘンに在籍し、ブンデスリーガとブンデスリーガ2部で計366試合に出場したGKガボル・キラーイ、そしてブンデスリーガのハンガリー人選手歴代最多となる286試合出場の記録を持つヘルタのレジェンド、パル・ダルダイだ。
この3人が “ハンガリー・ブランド”の向上に寄与した2000年代初頭、シャルケではタマシュ・ハイナルが静かに牙を研いでいた。その才能はシャルケでは日の目を見なかったが、2007/08シーズンにはカールスルーエで攻撃の中核を担い、昇格チームが前半戦を6位で折り返すという快進撃に貢献。その後はドルトムントでも活躍し、ブンデスリーガ通算149試合出場の記録を残している。
リステシュ、キラーイ、ダルダイ、ハイナルと並んで、レジェンドの一人と言えるのがサボルチュ・フスティだろう。卓越したテクニックと芸術的なフリーキックでファンを魅了し、2007/08シーズンと2013/14シーズンには二桁得点をマークした。この天才レフティーのチームメイトだったハノーファーOBのスティーブ・チェルンドロは後年、「自分が見た選手の中で最高のプレーヤー」と最大級の賛辞を送っている。
現役選手では、ライプツィヒのGKペテル・グラシ、DFヴィリ・オルバン(ドイツ出身)、マインツのFWアダム・サライ、フライブルクのMFロランド・サライがブンデスリーガでプレーしている。なかでもA・サライは、ダルダイに次ぐブンデスリーガ通算239試合に出場し、ハンガリー人選手歴代最多の52ゴールを記録している。
文=遠藤孝輔