Bundesliga
ロベルト・レヴァンドフスキか、ティモ・ヴェルナーか――。2019/20シーズンのブンデスリーガ得点王を巡る争いは、バイエルン・ミュンヘンとライプツィヒのエースによる一騎打ちの様相を呈している。
第23節終了時点でトップに立つレヴァンドフスキは25ゴール、それを追うヴェルナーは21ゴールを記録。3位につけるジェイドン・サンチョ(ドルトムント/13ゴール)とはすでに大きな差があり、残り11試合でひっくり返すというシナリオは現実的ではない。
レヴァンドフスキとヴェルナーの差は小さくないが、バイエルンのエースは2月25日に行われた欧州チャンピオンズリーグ・ラウンド16のチェルシー戦で左ひざを負傷し、3月末、あるいは4月上旬まで離脱する見込みとなってしまった。ここまで歴史的なゴールラッシュを披露してきたが、最低でも4試合のリーグ戦欠場が濃厚で、ヴェルナーにとっては差を縮めるチャンスが到来したと言える。
ブンデスリーガとDFB杯でそれぞれ4度ずつ得点王に輝いているレヴァンドフスキに対し、ヴェルナーはプロキャリアにおいてこれといった実績がない。とはいえ2016/17シーズンにライプツィヒに加入してからは1年目に21ゴール、2年目に13ゴール、3年目に16ゴールを記録。今シーズンはすでにキャリア最多タイの21ゴールとブンデスリーガ屈指の点取り屋であることは証明済みで、初の栄冠も夢ではない。
ブンデスリーガにおいてドイツ人選手が最後に得点王に輝いたのは、2014/15シーズン。アイントラハト・フランクフルトのファンから“サッカーの神様”と崇められたアレクサンダー・マイアー(今年1月に現役引退を表明)が19ゴールで頂点に立った。
21世紀以降では2001/02シーズンのマルティン・マックス(アウクスブルクに所属するフィリップ・マックスの実父)、2005/06シーズンのミロスラフ・クローゼ、2010/11シーズンのマリオ・ゴメス、2012/13シーズンのシュテファン・キースリンクと4人のドイツ人選手が名を連ねるが、歴代得点王の大半は外国人ストライカーだ。
ブンデスリーガがスタートした1963/64シーズンから1999/00シーズンまでは外国籍選手が得点王を獲得するケースはわずか1シーズン(1989/90)しかなかった。この史実を踏まえれば、21世紀以降のトップスコアラーの顔ぶれに寂しさを覚えるオールドファンも少なくないだろう。
ゲルト・ミュラーやユルゲン・クリンスマン、クローゼら世界的な名手を輩出し続けてきたドイツには、名ストライカーの系譜が存在する。今シーズン、ヴェルナーが逆転でブンデスリーガ得点王に輝けば、偉大なレジェンドたちの真の後継者として万人に認められるはずだ。
文=遠藤孝輔