Bundesliga
新型コロナウイルスの感染拡大により3月中旬から中断していたブンデスリーガが、約2カ月ぶりに再開した。その初戦となった第26節で2ゴールを挙げる鮮烈なパフォーマンスを披露し、ダービー大勝の立役者となったのがドルトムントのラファエル・ゲレイロだ。
ドルトムントが最高のリスタートを切った。ホームで迎えたルールダービーで宿敵シャルケを圧倒。アーリング・ハーランドの先制点(29分)を皮切りに、計4ゴールを奪って完封勝利を挙げた。リーグ中断による影響を微塵も感じさせない力強いパフォーマンスを見せ、首位バイエルンに勝点4差の2位をキープしている。
躍動感に溢れていたチームの中で、とりわけ眩い輝きを放っていたのがラファエル・ゲレイロだ。3ー4ー2ー1システムの左ウイングバックで先発したレフティーは、ピッチを縦横無尽に駆け回るだけでなく、見事なドッペルパック(45分、63分)を達成してみせた。
前半終了間際に決めた1ゴール目は得意の左足で確実にインパクトし、豪快にサイドネットへ突き刺した。そして、63分に挙げたチームの4点目はハーランドとの絶妙なパス交換で中央突破し、最後は左足アウトサイドでネットを揺らした美しいゴールだった。
ゲレイロはチャンスを演出するだけのサイドプレーヤーではない。2つのゴールは、左足の正確なキックと、優れた状況判断に基づく思い切りの良さという長所が凝縮されていた。これで今シーズンのリーグ戦得点数は「7」に。8試合を残して、ドルトムント加入初年度(2014/15シーズン)に記録した自己ベストをあっさりと更新した。
ウイングバックが主戦場の選手としては異例の二桁得点にも期待がかかる。そんなポルトガル代表の実力者は、母親の母国であるフランスの出身だ。同国の育成機関、クレールフォンテーヌで英才教育を受け、2012/13シーズンにカーンのトップチームでデビューした。その後、ロリアンで3シーズンを過ごし、2016年夏からドルトムントでプレーしている。
これまでは左サイドの全ポジションに加え、セントラルMFもこなせる貴重なバイプレーヤーの印象が強かったが、今シーズンの活躍ぶりは文字通り主役級。ルールダービーでの勝利後、ドルトムントのミヒャエル・ツォルクSDは「どれもこれも見事なプレーで打開していたよ。(ウイングバックは)まさにベストポジションだし、彼のためにあるようなものさ」と絶賛した。逆転優勝に挑む終盤戦。ゲレイロの推進力がチームの鍵を握りそうだ。
文=遠藤孝輔