Bundesliga
ブンデスリーガの歴史を彩ってきた外国籍プレーヤーの系譜を紐解く当連載。第11回はスイスにスポットライトを当てる。
スイス人選手の活躍はリーグ草創期から見られたが、その勢力を一気に拡大させたのは1990年代に入ってからだ。道を切り開いた名手を挙げるなら、FWステファヌ・シャピュイサとMFチリアコ・スフォルツァを措いてほかにいない。前者は1990年代のドルトムントで2度のブンデスリーガ制覇、チャンピオンズリーグ優勝などに貢献し、後者は1997/98シーズンにカイザースラウテルンで昇格1年目に優勝という奇跡の立役者となった。
通算200試合以上に出場したスイス人選手は計7人。265試合出場のスフォルツァが同国歴代最多で、どちらも2000年代のレーバークーゼンで活躍したMFであるピルミン・シュヴェグラー(263)とトランキッロ・バルネッタ(260)、08/09シーズンにヴォルフスブルクでリーグ制覇したGKディエゴ・ベナーリオ(259)、シャピュイサ(228)らが後に続く。
こうした先駆者たちに肩を並べようとしているのが、2人のスペシャルなGKだ。ボルシアMG不動の守護神ヤン・ゾマーは、現在ブンデスリーガでプレーするスイス人では最多192試合出場を誇る。彼に続くドルトムントのロマン・ビュルキ(184)も、「200」の大台到達が時間の問題だ。GK大国で特別な輝きを放ってきた両雄は、すでにスフォルツァやシャピュイサにも匹敵するレジェンドと言えるだろう。
ドイツにおけるスイス人選手の“ピーク”は2016年。計26人がプレーし、ブンデスリーガ最大の勢力となっていた。その後、オーストリアとフランスに抜かれたものの、ゾマーやビュルキ以外にも特筆すべき活躍を見せている選手は少なくない。ボルシアMGの上位進出に貢献しているFWブレール・エムボロ、MFデニス・ザカリア、DFニコ・エルヴェディ。ドルトムントで主力を担っているCBマヌエル・アカンジなどが代表格に挙がる。
今シーズンからブンデスリーガに参戦した新鋭の活躍も目立つ。プレーメーカーのジブリル・ソウはフランクフルトの主力で、ドリブラーのルベン・バルガスはアウクスブルクに欠かせない崩しの切り札だ。ヴォルフスブルクで出番を増やしている右サイドの職人ケヴィン・ムバブを含め、今後のさらなる活躍に期待したい。
現在はリーグ全体で計18人とやや勢力を縮小させたとはいえ、依然として存在感を放っているスイス人プレーヤー。引き続きブンデスリーガに彩りをもたらしてくれそうだ。
文=遠藤孝輔