Bundesliga
ドルトムントで3年目のシーズンを迎えるカリム・アデイェミには飛躍への期待がかかる。
多くの若き才能を育みワールドクラスの選手たちを輩出してきたボルシア・ドルトムント。現在もアーリング・ハーランドやジュード・ベリンガムに続いて、ジグナル・イドゥナ・パルクで大きな飛躍を遂げるべく奮闘を続ける若手選手は多い。
その中でも特筆すべき存在と言えるのが、今年22歳の誕生日を迎えたカリム・アデイェミだ。ミュンヘン出身のスピードスターはオーストリアで頭角を現し、2021/22シーズンにはレッドブル・ザルツブルクで国内リーグ19得点、UEFAチャンピオンズリーグで4得点を挙げてヨーロッパ中から大きな注目を集めた。そして2022年5月、母国ドイツに戻りドルトムントと契約を結んだ。
シーズン序盤は怪我もあり初挑戦のブンデスリーガへの適応に苦しんだが、ワールドカップ後の2023年1月に左ウィングで起用されるようになるとレヴァークーゼン戦でリーグ初ゴールを挙げる。後半戦だけで計6ゴールを記録し、チームとともに調子を上げてその才能の片りんを見せつけたことで、2年目のシーズンへの期待感が高まった。
しかし2023/24シーズン前半戦も定位置を掴み取るにはいたらず、12月には負傷で数カ月に渡る離脱を強いられた。復帰後の3月からは再び調子を上げたが結局リーグ戦21試合3得点にとどまり、チームも優勝争いから早々に離脱するなど満足できる結果を得ることはできなかった。
それでもアデイェミのポテンシャルは誰もが認めるところだ。なんといってもその豊かなスピードは魅力的であり、2023年のフライブルク戦では時速36.65キロメートルを記録しブンデスリーガの史上最速記録を樹立している。
その真骨頂が発揮されたのが、2023年2月に行われたチャンピオンズリーグ・ラウンド16のチェルシー戦だった。相手コーナーキックからのクリアボールを自陣中央付近で拾ったアデイェミはうまくボールをコントロールし、相手ゴールへ一直線に突進。対応したエンソ・フェルナンデスを置き去りにするとゴールキーパーもかわして決勝点を流し込んだ。
また今年3月に敵地アリアンツ・アレーナで行われたデア・クラシカーでも、カウンター攻撃のチャンスに一気に前線へ駆け上がると、ユリアン・ブラントのスルーパスに左サイドから走り込んでパワフルなシュートを叩き込んでドルトムントにとって2014年以来となる敵地でのデア・クラシカーの勝利に大きく貢献した。
過去2シーズンは度々故障によって戦線を離脱ているだけに、新シーズンは万全のコンディションを整え自慢のスピードとテクニックを遺憾なく発揮したいところ。そうすればアデイェミがジグナル・イドゥナ・パルクの主役に躍り出ることは難しくないだろう。