Bundesliga
伊藤洋輝、アントン、ギラシら主力を引き抜かれたシュトゥットガルトは新戦力を加えて新たなスタートを切る。
ブンデスリーガ2位への躍進を遂げた1年間を終え、VfBシュトゥットガルトは新たなチャレンジに挑もうとしている。今シーズンは15年ぶりとなる欧州最高峰の舞台UEFAチャンピオンズリーグ出場が決まっており、国内でも昨季の快進撃の勢いを継続して再び優勝争いに参戦することが期待される。
歴史的なシーズンの立役者であり今年3月にクラブとの契約を2027年まで延長したセバスティアン・ヘーネス監督は地元出身であり、子供時代はシュトゥットガルトの下部組織でプレーした。そのためクラブへの愛情は特別であり「我々の目標は持続可能な形でこの道を進み、再びVfBを常に上位にいるクラブにすることです」と長期的な計画を語っている。
しかしこの夏の移籍市場では、若き名将も頭を悩ませているかもしれない。躍進を遂げたクラブの宿命というべきか、この夏は多くの主力選手にビッグクラブからのオファーが舞い込んだのだ。まずは堅守を支える安定感抜群のパフォーマンスを見せた日本代表DF伊藤洋輝が、巻き返しを図るバイエルンに完全移籍。さらにセンターバックの相棒でありキャプテンも務めたドイツ代表DFヴァルデマール・アントン、リーグ戦28試合で28得点を挙げたエースのギニア代表FWセール・ギラシは揃ってドルトムントに引き抜かれた。デニズ・ウンダフも現時点でブライトンからの期限付き移籍が終了しチームを離れている。
一方で試合数の増える新シーズンに向けて、クラブは早い段階から積極的に補強に動いた。伊藤とアントンの抜けた最終ラインにはケルンからジェフ・シャボー (26)、フェイエノールトからラモン・ヘンドリクスを獲得。前者はブンデスリーガでの経験も豊富な身長195cmの大型センターバックで、後者は昨季フィテッセで頭角を現した22歳の有望株だ。さらにバイエルンから21歳の左サイドバック、フランス・クレツィヒをレンタルで獲得している。
またフライブルクから守備的MFヤニク・カイテル (24)、ケルンから快足ウィングのジャスティン・ディール (19)、ブレーメンからは長身FWニック・ヴォルテマーデ(24)をフリートランスファーで加えた。
そして補強の目玉と言えるのが、アウクスブルクから獲得したボスニア・ヘルツェゴビナ代表FWエルメディン・デミロヴィッチ(26)だ。昨季ブンデスリーガ33試合で15得点を挙げたストライカーにはギラシの穴を埋める大役が期待される。
新戦力は既にチームに合流しており、日本ツアーの初戦となった京都サンガ戦でも後半の頭から投入されたシャボー以外の6人がスタメン出場し、チームとの融合を図っている。特にディールは快足を活かして反撃の狼煙を上げるゴールを決めるなど、インパクトを残した。さらにトーマス・カスタナラス(21)、ムサ・シセ(21)、ルカ・ライムント(19)ら若手選手も日本でアピールに成功しており、4週間後のリーグ開幕戦では新鮮な顔触れのシュトゥットガルトがピッチに立つだろう。