Bundesliga
バイエルン・ミュンヘンのロベルト・レヴァンドフスキが、偉大な記録まであと一歩に迫っている。現在、外国籍選手の歴代最多得点記録を保持するのは、大迫勇也のブレーメンに所属するクラウディオ・ピサロで、これまで194ゴール。これにわずか1得点足らないレヴァンドフスキは次節、過去13試合で18ゴールを挙げている“お得意様”、アウクスブルク戦に臨む。
2010/11シーズン第4節、シャルケとのルール・ダービーで、ブンデスリーガ初得点をマークしたレヴァンドフスキ。あれから8年半、同選手がこれだけのゴールを積み重ねると予想したドイツのファンは、決して多くなかったはずだ。しかしレヴァンドフスキはドルトムント移籍前に所属していたレフ・ポズナンで、ポーランドのトップリーグ58試合に出場し、32ゴールを決めていた。当時、「ロベルトの完成度はまだ60%に過ぎない。きみたちは今後、非常に面白いものを見ることができるはずだよ!」とブンデスリーガに向けて話したポーランドサッカー界の英雄ズビグニェフ・ボニエク氏は、現在のレヴァンドフスキの姿を予言していた一人である。
されど、一年目から順風満帆だったかといえば、そうではない。ドルトムント加入初年度のレヴァンドフスキは、第3節ヴォルフスブルク戦を除く33試合でピッチに立ったものの、そのほとんどは途中出場。その頃は“ルーカス・バリオスの代役”という立ち位置に過ぎなかった。しかし、そのバリオスが南米選手権で負ったけがのため2011/12シーズン序盤を欠場する間に、レヴァンドフスキはドルトムントのエースの座を奪取する。「ボールを持っていない時にも、やらなければならないことがたくさんあることを学んだ」というレヴァンドフスキに、ユルゲン・クロップ監督は厚い信頼を寄せていた。
ブンデスリーガ連覇と国内2冠、さらに欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝進出も果たしたドルトムントで、レヴァンドフスキはもはや代えのきかない存在となった。しかし、そんなリーグ屈指の点取り屋に鋭い視線を注いだのは、「ドイツ王者」を自認するバイエルン。同クラブのカールハインツ・ルンメニゲ社長は「レヴァンドフスキは世界でもベストなFWの一人に数えられる。彼こそ、バイエルンを強くしてくれる存在だし、このチームをもう一段階高いところへ押し上げてくれる選手なのだ」と、その獲得に動いた。結果、同選手はこの移籍を実現させ、ミュンヘンに居を構えるドイツ最大のクラブを新たな所属先に選んだ。
すべてのポジションにワールドクラスのプレーヤーを揃えるバイエルンで、レヴァンドフスキはさらにゴールを量産し続けた。先週末に行われた今季第21節では、同クラブの選手としてはゲルト・ミュラー氏、カールハインツ・ルンメニゲ社長に次ぐ歴代3位の119ゴール目を挙げ、ここまでの得点率も「100分に1ゴール」という驚異的な数値。本拠地アリアンツ・アレーナでのゴール数も、早くも100に到達した。
今シーズンからレヴァンドフスキを指導する立場となったニコ・コヴァチ監督の言葉を借りるならば、その存在は「チームにとっては生命保険のようなもの」。途中出場から9分間で5ゴールなど、これまで様々なレコードを樹立してきたポーランド代表主将は、「ブンデスリーガの最強外国人」として、さらなる金字塔を打ち立てようとしている。