Bundesliga
ユップ・ハインケス、ジョゼップ・グアルディオラ、カルロ・アンチェロッティに率いられ、昨季までにブンデスリーガ6連覇を達成していたバイエルン・ミュンヘンが、その前人未到のレコードを「7」に更新した。
最終節までもつれたドルトムントとのタイトルレースを制し、7シーズン連続29回目のリーグ優勝。欧州主要リーグで7連覇を達成したのは2000年代のリヨン、そしてセリエAを8連覇したユヴェントスしか存在しない。
序盤は苦戦の連続だった。ハインケスからニコ・コヴァチへの監督交代の影響が少なからず見受けられ、攻守の歯車が噛み合わなかった。第6節からヘルタ・ベルリン、ボルシアMGに連敗を喫し、巻き返しを誓った第12節の“デア・クラシカー”で痛恨の逆転負け(2ー3)。一時は首位ドルトムントに9ポイントの差をつけられた。
続くフォルトゥナ・デュッセルドルフ戦もまさかのドローで終えたが、第13節のブレーメン戦で4試合ぶりの勝利を収めると、一気に本来の姿を取り戻す。コヴァチ監督のシステム変更(4ー1ー4ー1から4ー2ー3ー1へ)が功を奏して懸案の守備が安定すると、怒涛の7連勝と大きな波に乗った。第20節のレーバークーゼン戦こそ星を落としたが、その後は再び連勝を重ね、ドルトムントを5ー0で一蹴した第28節に首位の座を奪還。そのまま7連覇まで一気に走り切った。
MVPを一人だけ挙げるのは難しい。22ゴールを挙げて得点王に輝いたロベルト・レヴァンドフスキ、巧みなゲームメークと献身的な守備で貢献したティアゴ・アルカンタラ、リーグ2位タイの13アシストを記録したヨシュア・キミッヒ、最終ラインの柱に成長したニクラス・ズューレと、輝きを放ったタレントは少なくない。
組織の安定化に伴い、セルジュ・ニャブリやレオン・ゴレツカら新戦力も躍動した。特に前者は今季限りで退団したフランク・リベリー、アリエン・ロッベンの後継者にふさわしいハイパフォーマンスを見せ、後半戦の巻き返しに大きく貢献。雷のようなドリブルで敵陣を切り裂き、左ウイングのキングスレイ・コマンとともに相手の脅威となった。
一時は批判にさらされながら、自分の信念を曲げずに攻守の組織を整備し、個々の能力を引き出したコヴァチ監督は称賛されてしかるべきだろう。それはサポーターも分かっているようだ。アイントラハト・フランクフルトに5ー1の大勝を収めた最終節後、ホームのアリアンツ・アレーナは「ニコ・コヴァチ」の大コールに包まれた。
過去6シーズンのような独走ではなかったものの、バイエルンは今季もきっちりマイスターシャーレを防衛した。来季もこの絶対王者を中心に覇権争いが繰り広げられるはずだ。
文=遠藤孝輔