Bundesliga

2019-02-14T09:25:45Z

ヤングスターFILE:アルフォンソ・デイビス(バイエルン)

ブンデスリーガの有望な若手選手を紹介する「ヤングスターFILE」。第9回はバイエルン・ミュンヘンに加入したカナダ期待の星、アルフォンソ・デイビスに注目!

ウィンターブレイク中に行われたテレコムカップで、一人のティーンエージャーが観衆を魅了した。昨夏にバイエルン・ミュンヘンへの加入が決まり、今年1月から正式にドイツ王者の一員となった2000年生まれの新星、アルフォンソ・デイビスだ。

決勝のボルシアMG戦で実戦デビューを果たしたデイビスは、たったワンプレーでその非凡な才能を証明してみせた。敵陣の右サイドで縦パスに反応し、右足の後ろに左足を回して巧みにボールをコントロールすると、ワンタッチでマーカーの股間を抜き、抜群の加速で一気に局面を打開した。卓越したテクニックと豊かなアイデア、そして爆発的なスピード……。自らの長所が詰まった、挨拶代わりとしては十分なスーパープレーだった。

そのボルシアMG戦や日々のトレーニングでアピールに成功したデイビスは、第19節のシュトゥットガルト戦でブンデスリーガデビュー。続くレーバークーゼン戦では1点ビハインドの状況でピッチに送り込まれるなど、早くもニコ・コバチ監督の信頼をつかんで貴重な実戦経験を積んでいる。先発に名を連ねるのも時間の問題だろう。

デイビスは史上2番目の若さ(15歳257日)でMLSデビュー、カナダ代表の最年少デビュー記録も更新するなど、バイエルン加入前から数々の伝説を残してきた。まだ18歳の若者に過ぎないが、スーパースターに囲まれても萎縮せず、積極的に持ち味を出そうとする芯の強さは大きな魅力だろう。

その強靭な精神力は両親譲りなのかもしれない。デイビスの両親はリベリア出身で、1999年に勃発した祖国の内戦を逃れるためにガーナの難民キャンプ(デイビスはここで生を受けた)を経て、2006年にカナダへ移住した。そんな壮絶な人生を送った2人の苦労は絶えなかったが、デイビスを含む3人の子どもに愛情を注ぎ、決して非行に走らせるような育て方はしなかった。

デイビスはそんな両親を「誇りに思う」と話す。周囲に持てはやされても決して自分を見失わず、サッカーに真摯に向き合えるのも、家族を悲しませたくない一心からだろう。自分たちの力で未来を切り開いてきた両親のように、デイビスも力強くブンデスリーガの荒波を乗り越えていくはずだ。

文=遠藤孝輔

【ヤングスターFILE】

Vol.1:ドディ・ルケバキオ(デュッセルドルフ)

Vol.2:ルカ・ヨヴィッチ(フランクフルト)

Vol.3:フローリアン・ノイハウス(ボルシアMG)

Vol.4:ダヨ・ウパメカノ(ライプツィヒ)

Vol.5:ジャンフィリップ・ジュバマン(マインツ)

Vol.6:マクシミリアン・エゲシュタイン(ブレーメン)

Vol.7:アレクサンダー・ニューベル(シャルケ)

Vol.8:ジョエリントン(ホッフェンハイム)

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