Bundesliga
バイエルン・ミュンヘンのロベルト・レヴァンドフスキは、流れの中やセットプレーから得点を量産するだけでなく、高い決定力を誇るPK職人としても知られるようになった。ここでは、同選手が過去と比べどのような点を改善し、PKの成功率を高めるようになったのかを解説していく。(※上部動画は独語、下記本文は日本語訳)
0分00秒~:そこは“究極の1対1”。彼は、そのスペシャリスト。バイエルンのゴールマシンは、PKを決めるための完璧なレシピを持っている。そこで当サイトがレヴァンドフスキのPKテクニックを動画で分析し、高い決定率の秘密を紹介していく。
0分24秒~:まずは昔の映像から見てみよう。これはレヴァンドフスキがブンデスリーガで初めてPKを決めたシーン(2012/13シーズン第12節フュルト戦)。助走開始と同時に速度は上がり続け、蹴るコースはあらかじめ決められており、そこ目がけて力強くシュートが放たれている。
0分40秒~:注目すべきは、彼の視線。レヴァンドフスキの視線の先にはボールしかなく、GKの動きには目もくれない。
0分50秒~:続いてはブンデスリーガで2度目のPKの場面(2012/13シーズン第32節バイエルン戦)。レヴァンドフスキはフュルト戦と同じく、あらかじめ蹴るコースを決め、助走開始からスピードを上げ続けている。今回もシュートは時速106kmに達するなど強力そのものだったが、GKマヌエル・ノイアーが飛んだのはレヴァンドフスキと同じコース。レヴァンドフスキはこの時もやはりボールしか見ておらず、この手法では、ゴールが決まるか否かはすべて、確率の問題になってしまう。
1分19秒~:ここからのテーマは「ルックアップ」。先述のバイエルン戦から3年後、2015/16シーズン第33節インゴルシュタット戦の場面。レヴァンドフスキは以前のような助走スピードを上げ続ける方法をやめ、蹴る直前にスピードを落としてGKの動きを観察するようになった。ここではGKが左に動いたと見るや、ボールを逆の右側へ流し込んだ。
1分46秒~:その後レヴァンドフスキは、GKの動きから視線を外さず、ボールを一切見ないという手法に切り替えた。しかしこれには、キックの精度が低下するというリスクもつきまとう。2018年3月から2019年1月までの間にレヴァンドフスキはPKを5本蹴り、そのうち2本を失敗。PK技術の向上が急務となった。
2分13秒~:続いてのテーマは「パーフェクトな流れ」。部分的にではあるが、レヴァンドフスキは蹴る直前にボールを見るという以前の方法へ戻した。ただし、GKの観察とボールに視線を落とす動作のミックスは、よりパーフェクトなものとなった。ここで重要な鍵となってくるのは、判断のスピードだ。
2分32秒~:助走開始、そしてGKを観察。GKの動きを見た0.4秒後には、視線を落として正確にボールをキックしている。つまり、一瞬にして状況を読み取り、PKを決めているのだ。
2分56秒~:ここでも蹴る直前でテンポを落とし、GKの動きをチェック。視線を下げてボールを蹴るまで、わずか0.44秒。
3分10秒~:この場面ではGKの上半身および左足の動きを見逃さず、逆を突いた。こうなってしまっては、GKにボールを止めるチャンスはない。
3分37秒~:レヴァンドフスキがGKを見た時、仮にGKが動いていなかったとしたらどうだろうか?そのような場合、レヴァンドフスキの強烈なシュートを止めるには、約0.5秒しか残されておらず、反応があまりにも遅れてしまう。
3分47秒~:ブンデスリーガで蹴ったPK27本のうち、GKの完璧なセーブに遭ったのは1度だけ。枠を外してしまった時でさえ、GKは逆の方向へ飛んでいる。バイエルンのスーパースターは、PK動作の改善に成功した。