Bundesliga
ブンデスリーガ2部でプレーする奥川雅也が好調だ。出場した直近のリーグ戦3試合で移籍後初ゴールを含む2得点をマーク。新天地ホルシュタイン・キールでついに飛躍のときを迎えそうだ。
待望の移籍後初ゴールが生まれたのは、2月23日に行われた第23節のボーフム戦。奥川にとっては今季9試合目の出場だった。味方のシュートのこぼれ球を押し込む泥臭い形だったが、欲しかった結果が出たことで試合後には安堵の笑みをこぼした。
「今までいっぱいチャンスがあった中で決められていなかったけど、こういう形で点を取れたので運がついてくると思う。これまでのプレー自体は自分でもいいと思っていた。そこに結果がついてきて、好調につながったと思う」
3月15日に行われた第26節のアウエ戦では、早速その言葉を証明してみせた。3点リードで迎えた76分、マティアス・ホンザクの折り返しをゴール前で合わせて今季2点目。『kicker』誌が選ぶブンデスリーガ2部第26節のベストイレブンにも選出された。これまでは持ち味のドリブルが生きるウイングでプレーすることが多かったが、ここ4試合はセカンドストライカーとして起用され、ゴールという結果で期待に応えている。
奥川は昨夏にオーストリア1部ザルツブルクから期限付き移籍でドイツへやって来たが、当初はリーグへの適応とケガに苦しみ、ベンチを温める時間も少なくなかった。シーズン前半戦の終盤に負ったケガにウィンターブレイクによる中断が重なり、約2カ月も試合から遠ざかった時期さえあった。それでも、本人は飛躍を見据えて前を向いていた。
「(ドイツでは)1回、1回のフィジカルコンタクトが全然違うし、オーストリアと違って戦術的なチームが多い。ボールのないところでの動きをもっと明確にして、良いポジション取りをしていきたい。(相手と)ぶつかる場面はあるけど、必ずしもそこで勝たなくてもいいと思う。体勢を維持したり、うまいこと体を入れ替えたり、自分のフィジカルにあった体の使い方を極めていきたい」
ピッチ内外での経験と自信の積み重ねが生んだゴールという結果。あとは本来の“自分らしさ”を発揮することができれば今の勢いを確かなものにできる。「(持ち味の)スピードや細かいステップ、ボールを持ったときのプレーは通用していると思う。一対一を仕掛ける意識は練習のときから監督にもずっと言われている。守備も攻撃も一対一で絶対に負けない。特に攻撃ではドリブルの部分でもっと目立っていきたい」
シーズンは終盤戦に突入し、キールは現在5位と昇格を狙えるポジションにつけている。しかし、奥川自身は11試合2得点という成績に到底満足していない。「もっと自分のプレーを出していきたい」……。昇格争いが熾烈さを増す終盤戦、奥川が“自分らしいプレー”をどれだけ見せてくれるか注目だ。
文=湊 昂大(Text:Kota Minato)