Bundesliga
「毎日楽しくて仕方ないし、サッカーができる喜びを日々噛み締めている。去年は全く試合に出ていなかったから、焦らずに一日一日、一瞬一瞬を大事にやっていきたい」
ケガによる二度の長期離脱から復活を遂げたザンクト・パウリの宮市亮は今、全力でサッカーと向き合う日々を過ごしている。それはケガに苦しんでいた時には決して得られなかった楽しみや喜びなのかもしれない。9月21日のインゴルシュタット戦で約1年4カ月ぶりの実戦復帰を果たすと、その試合でいきなりゴールを決めて復活を力強くアピールした。復帰直後は足をつって途中交代することもあったが、試合を重ねるごとにコンディションは向上している。
華々しいカムバックを果たしてから約3カ月後の12月10日、第16節のボーフム戦では2試合連続の先発出場を果たし、PKを獲得してチームの勝利に貢献した。この試合でゴールやアシストのチャンスもあったが、本人に焦りはない。「そういうものは試合を重ねていくうちに自然についてくる。今はサッカーができていることがうれしい。そこは全然変わらない」
復帰後はまだフルタイム出場ができていないが、大ケガからの復帰ということもあってチーム、本人ともに慎重だ。「そこは監督とも話しています。ケガが長かったということでやっぱり監督も慎重になっているところがある。その点は感謝しています」
復帰以来、宮市はリーグ戦8試合に出場して1ゴールを記録。まだ完全にレギュラーの座をつかんだとは言えないものの、現在4位と好調なチームの一員として確かな存在感を示している。今季限りで切れるクラブとの契約についても本人は意に介さない。「今はサッカーができる幸せを感じながら試合にも絡めている。ピッチで自分を表現したい」と目の前の試合に集中している。
長く苦しんだ分、「サッカーができる喜び」はそう簡単には消えない。そして「楽しみながら」積み重ねる地道な努力は着実に未来へとつながっている。
文=湊 昂大